2016-08-25

生のものと火を通したもの|稽古場レポート5creation report 5

演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』
《稽古場レポート5》




久しぶりに集まった関東チームの3人。
この日はSkypeを使って愛知から参加のピアニスト、
寺本みなみさんともちょっとだけ参加。

今日の稽古はそれぞれのキャラクターを深める時間に。
午前中の連想する言葉を出していくスタディから、
午後の役になったつもりで話す
「インプロ」へ。
彫刻だったら木や石と対話しながら
その中にある形を掘り出していくけど、そんな感じ。

インプロは普段やらないので最初は戸惑ったけど、
人物像やセリフをみんなで見つけていくのは、
個人作業ではなかなか行けないところまで、
短時間で跳躍できたような感じがしました。

僕は作曲、松縄さんは美術、外山さんは演劇が
原点にあって、そこから身体表現へと広がっていった3人。
このメンバーがダンスという表現に集っていることが、
とても意味のある必然的に感じます。

踊りも音楽も全然やらなかったけど、
作品の下地を耕して、土作りを3人でやったような日でした。


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愛知県立芸術大学創立50周年記念展示「芸術は森からはじまる」関連企画
サウンド・イベント森羅<SHINRA> 第6日「パフォーマンス」
せきみつほ、高山葉子、橋本知久の3名の作家が
学内の各所で繰広げる、身体表現を主体とした作品の上演。
http://botadc.main.jp/shinra/

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演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』

日時 2016年9月18日(日)17:00 開演(16:50 開場)
会場 愛知県立芸術大学 講義棟 3階 第1講義室
《入場無料》

【作・演出】橋本知久
【共同演出】外山晴菜

出演:橋本知久、松縄春香、寺本みなみ

舞台監督:堀江善弘(afterimage / exit)

https://www.facebook.com/events/645964215571973/

2016-08-22

生のものと火を通したもの|稽古場レポート4 creation report 4

演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』
《稽古場レポート4》

どうにもこのチームでの稽古日は雨になるらしい、というか今日は・・


町田で外山晴菜さんと僕の二人での作業だったんだけど、
朝から台風接近で暴風雨!!
予定通り集まったものの、
稽古場に辿り着く前に、
頭から足までずぶ濡れになってしまいました。

***

2014年にWINDS CAFE『音の食卓』で「生のもの」という
題をつけて上演したものを今回大幅に改定して再演することにしたのだけど、
客観的な視点が欲しかったので外山さんに共同演出をお願いしました。
現時点でも、本当に頼んで正解だったなと感謝しています。

抽象的な作品でも、コンセプチュアルなものでも、
玄人ウケする作品でもなくて、もっと自分自身の生きていること、
暮らすこととつながるような創作の形を模索していて、
311から3年経った2014年に、やっとその原点のようなアプローチを
外に出すことができました。

今回はさらに見せることを意識して、
研究者ナオトと音楽家キエコという夫婦、
ジャーナリストのナオミという登場人物を設定して、
台本を作り直すところから作業をはじめました。

2011年のオペラ『胡蝶の夢Butterfly Dream』でも自分で台本から作りましたが、
その時は能の「土蜘蛛」という原作があったので、
今回はぜんぜん違った難しさがあります。でも、それが面白いんですけど。


まずはピアノや小物の楽器を使ってシーン2の音楽を録音。
そこから全体構成の練り直し。
今回は久しぶりにセリフありの台本も書いていて、
僕は語って踊って、鍵ハモも演奏します。
「ナオト」という役を設定してはいますが、
311以降に自分が体験したことをベースにしているドキュメンタリー的な作品。
スピーチのようなモノローグ部分もあるんだけど、
実際に経験していることだから語ろうと思えばいくらでも話せてしまいます。

だから「届けたいメッセージをなるべくシンプルに」。
実際に読んだり、動きにしたり、音を入れて試したりしながら、
言葉を削ったり、並べ替えたりという台本上の修正作業も繰り返しています。

そして会場も劇場ではなく、講義室での上演です。
幕も照明もないし、予算もないので美術もほぼ無し。
シンプルな環境の中で、自分自身の体験を舞台化する。
さらけ出すような覚悟で臨んでいます。
ぜひご覧いただけたら嬉しいです。


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愛知県立芸術大学創立50周年記念展示「芸術は森からはじまる」関連企画
サウンド・イベント森羅<SHINRA> 第6日「パフォーマンス」
せきみつほ、高山葉子、橋本知久の3名の作家が
学内の各所で繰広げる、身体表現を主体とした作品の上演。
http://botadc.main.jp/shinra/

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演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』

日時 2016年9月18日(日)17:00 開演(16:50 開場)
会場 愛知県立芸術大学 講義棟 3階 第1講義室
《入場無料》

【作・演出】橋本知久
【共同演出】外山晴菜

出演:橋本知久、松縄春香、寺本みなみ


舞台監督:堀江善弘(afterimage / exit)

https://www.facebook.com/events/645964215571973/

2016-08-13

生のものと火を通したもの|稽古場レポート3 creation report3

演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』
《稽古場レポート3》


稽古後にみんなで韓国料理を食べながらいろんな話。

なわちゃん(松縄さん)に
「フェイスブックに書いていた黒燿石を磨いているのは何で?」って聞いたら、
新宿で夜中に聞いた太鼓の音から茅野市の御柱祭につながって、
鹿の皮、黒燿石を探しに行って見つけたことまで着地する、
びっくりストーリーが聞けてしまった。なわちゃん、オモロイ。

9月18日(土)に上演する『生のものと火を通したもの』に
松縄春香さんに出演者として参加してもらうことが決まった。
最近では小池博史さんの演出の『マハーバーラタ』などで演出助手を
しているパフォーマー。今回が初めての共演となる。

僕と外山さんに松縄さんが加わって、三人での稽古。
外山さんリードでのアップ。
前回はしりとりしながら動いてみたが、今回は古今東西。
花、国、魚などテーマを変えつつ、単語をつぶやきながら動いてみる。
お互いの動きを真似るゲームを、主従関係を変えながら続ける。
そんな感じで、お互いのこれまでの経験や発想をダンスを通して知っていく。
会話するように。

後半は僕がリードして、呼吸とからだのワーク。
死ぬまでずっと続けている呼吸だけど、
日常では意識していることって少ないと思う。
「呼吸」という言葉は吐くと吸うを意味しているけど、
その間に「止める」という中間の領域を意識的に持つことができる。

呼吸といえば肺。肺には筋肉はついてなくて、
肺自体を動かそうとしてもそれは無理。
周りの筋肉や骨格で空間の大きさが変わることで、
肺が縮んだり膨らんだりして空気が出入りしている。

この日の呼吸ワークのポイントは息を止めている時の状態を観察すること。
「止める」のではなくて、
体のいろいろな場所の弛緩のバランスがある状態に保たれる結果、
「止まった状態になる」という発想を持ってみること。

食べたり呼吸したり、INとOUTの間は
外には見えてこないが、消化吸収のフェーズとして、
確かにからだは動き続けている。

そんな視点を持って、
「吸う、止める(止まる)、吐く」の反復を
呼吸と動きの関係へと深めて、探っていった。

帰り道。雨に濡れたアスファルトに街灯が反射してキラキラと光る。
さっき話した「黒燿石」がふと浮かぶ。

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演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』

日時 2016年9月18日(日)17:00 開演(16:50 開場)
会場 愛知県立芸術大学 講義棟 3階 第1講義室
《入場無料》

【作・演出】橋本知久
【共同演出】外山晴菜

出演:橋本知久、松縄春香、寺本みなみ

舞台監督:堀江善弘(afterimage / exit)

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「芸術は森からはじまる」愛知県立芸術大学創立50 周年記念展示
サウンド・イベント森羅 第6日「パフォーマンス」
2016年9月18日(日)
3名の作家が学内の各所で繰広げる、身体表現を主体とした作品上演

◎せきみつほ 『3つのマサパージェ』(約10分)
12:30- 食堂前付近 / 15:00- 美術棟付近 / 17:50- 講義棟下・バス停側

◎高山葉子 鍵盤楽器奏者のための幻灯的舞台作品〈ソナチネ〉ver.SHINRA
開場15:45 開演16:00 (上演時間約30分)
会場:新音楽棟・大演奏室A

◎橋本知久 演劇的ダンス『生のものと火を通したもの』
開場16:45 開演17:00 (上演時間約30分)
会場:講義棟3階・第一講義室

http://botadc.main.jp/shinra/